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2006年2月

改訂:2006/03/18(補足を追加)

2006/02 我が家で一番精度の高いものは何?
    〜〜IC-756PROの基準周波数を調整し精度を高める〜〜

 昨年末、DDS-VFOを製作した時、IC-756PROを使って周波数の確認をしたのですが、なんとなくずれているなと思っていました。そこで、PC-TRX-IFも完成したことだし、このインタフェースを活用し、BPMとパソコンソフトを使ってIC-756PROの基準周波数の校正をしてみることにしました。高級な測定器は一切使わずに、高精度の校正が出来る方法です。

 以下は校正が終わったIC-756PROの初期変動です。電源ONから30秒で十分に仕様の範囲内に入っています。5分たてば2Hz以内に30分たてば1Hz以内に入ります。すばらしい精度と確度です。簡単な測定装置では、これ以上の精度確認は無理の様です。1Hz以内ということは0.1ppmです、1ヶ月が約2.6M秒程ですから、0.1ppmと言うのは4ヶ月で1秒の誤差と言うすばらしい数字です。我が家には高級な周波数カウンタは無いので、おそらく我が家で「一番、安定度・精度・確度が高いもの」です。

 理屈は簡単で、IC-756PROの場合、ひとつの基準周波数からDDSを使って内部で使うすべての信号の周波数を作り出しているからです。用意するものは以下のものです。
@校正用参照周波数:10MHzのBPMを使います、なるべく安定している時間を選びます。
Aビート用周波数:IC-756PRO自身のサイドトーンを利用します。私の場合は600Hzにセットしています。
Bサイドトーンおよびビート測定:PCソフトを使います。600Hz付近が測定できるものを用意します。私は以下の2つを併用しました。
 WaveSpectra:いつもお世話になっているソフトです。波形とスペクトラムと周波数を同時に見ることが出来るので便利ですが、サンプルデータ数を最高の65536に設定しても、600Hz付近では周波数が0.7Hzおきの飛び飛びになります。但し0Hz付近のビートのうなりを波形で確認できるので、聴覚と視覚の両方を活用できます。
 MMVARI:スペクトラムとウオーターフォールが使えます。周波数は1Hz単位で滑らかに変化します。
C調整ドライバ:基準周波数調整のトリマはIC-756PROの右側側面の下のほうに穴が開いています。
Dサイドトーンを連続で出すもの:キー又はジャンパクリップ

以上が準備できたら、以下の手順で校正します。
@IC-756PROを十分にウオームアップしておきます。少なくとも4時間出来れば6時間以上が良い様です。私の場合は、朝起きてから電源を入れ、調整は夜にしましたので、12時間ぐらいはウオームアップされています。
AIC-756PROはCWモード、サイドトーンは600Hzにセットしておきます。ブレークイン機能はOFFにしておき、受信状態でキーダウンするとサイドトーンが聞こえるようにしておきます。
BPC-TRX-IFをつなぎPCはWaveSpectraとMMVARIを起動しておきます。
C10MHzのBPMを受信し大体のずれを確認しておきます。WaveSpectraまたはMMVARIで600HzにピークがくるようにIC-756PROのダイアルを回します。私の場合は10,000,008でピークに合いました。8Hzぐらいずれているようです。
D次にIC-756PROのダイアルを10,000,000にセットします、私の場合は8Hzずれていたので、WaveSpectraまたはMMVARIの表示は592Hz付近を表示しています。この時WaveSpectraの波形表示が適当な大きさになるように縦軸ゲインを調整しておきます。
E右手に調整棒を持ち、左手でキーダウンしてビートを発生させます、8Hzずれているので8Hzのビートが発生します。調整棒で基準周波数調整トリマを慎重に回してビートが0Hzになるように調整します。0Hz近辺になったら、WavwSpectraの波形の様子を視覚で見て聴覚と併用すると調整しやすくなります。基準周波数調整用のトリマは結構微妙で、0Hzに合わせこむのにはコツが必要です。何度かやっていると、コツがわかってきます。

 以上で、IC-756PROは10,000,000Hzにぴったり校正できました。1Hzの単位があっていますから、0.1ppm以内ということでしょうか? これで、校正は終わり、次に初期変動を測定してみます。マニュアルには-10〜+50℃で電源ONから1分後にて±0.5ppmと書いてあります。とりあえず、電源をOFFにして一晩冷やします。周波数の初期変動は上記調整した状態のまま電源を入れて、時間経過とMMVARIの周波数表示を記録し、IC-756PROを10,000,000にセットした時の受信周波数の変化として換算します。結果は冒頭に載せたIC-756PROの受信周波数の初期変動グラフです。

【DDS-VFO の初期変動の測定】

 IC-756PROが校正できたので、いろいろ計ってみたくなりました。精度・確度が良いといわれている、秋月のDDSはどうでしょうか? 昨年作って、 今年箱入れしたCytecのDDS-VFOの初期変動をIC-756PROを使って測定してみました。
 電源ONすぐは+29Hzから始まりますが、6分で+9Hz=+1ppm以内に納まります。その後、設定値の9,000,000Hzを通り越して、-7Hz=-0.8ppm付近で安定します。それでも、この値段でこの安定度・精度・確度は本当にすばらしいものです。
 いずれにしても、EasyFCで記録できなかった20Hz以下の変動を測定できる様になりました。

【追記】 1Hz以下が測定できるソフト

 1Hz以下が測定できるようなソフト(フリー)が無いか?と、探していたところ、世の中にはあるものですね。田村OMのHPで紹介されていますSpectran(Alberto/I2PHD, Vittorio/IK2CZL作)というソフトがまさにそのものです。但し、このソフトはクロック補正がついていませんので、このあたりは、手計算になってきますが、いずれにしても手持ちのPCで0.01Hz単位まで測定できるのは驚異的です。このソフトを使った受信周波数校正法も田村OMが解説されています。
 早速ダウンロードさせてもらって、校正したIC-756PROの受信周波数を確認してみました。手計算は面倒なのでエクセルで測定値を入れれば計算できるようにしておきます。十分ヒートランした状態で10MHzのBPMで校正したIC-756PROの周波数精度・確度は以下の通りでした。
    表示周波数を    10,001,000Hz  に設定した時
    真の受信周波数は 10,001,000.08Hz
    受信周波数偏差  +0.08Hz=0.008ppm (10MHzに於いて)
 驚異的な精度で合っています。0.008ppmと言うのは冒頭で話した時刻で言えば、4年で1秒の誤差になります。「うるう秒」の事を考えると地球の自転よりも精度が良いということでしょうか? ビートの「うなり」で合わせるというのも結構精度高く設定できるものです。0.08Hzというと12.5秒周期の「うなり」ですから、それぐらいの精度であわせこんだと思います。あながち「まゆつば」のデータでもなさそうです。但し、これぐらいの精度になってくると、もっと他の影響を考えないといけないような気もしますが、そこはまだ不勉強です。

【追記の補足】

 Spectranの表示は0.01Hzまで出ていますが、設定のResolutionは一番精度が良くて0.042Hzになっています。周波数表示は0.1Hzぐらいまでを信用したほうが良さそうです。まあ、それでもここまで測定できるのはありがたいですが。

【精度についての補足】

 4年で1秒の誤差と言うときと、10MHzで0.08Hzの誤差と言うときはなんとなく違うな?と言う感じがしてなりません。同じ0.008ppmですが、片や4年もの時間軸での話、片や周波数軸での話し、うまく説明できませんが、なんか違うような気が。。。。。 もっと勉強してみます。
 ただ、0.008ppmと言うのがどれぐらいの精度なのかを何かに置き換えて、感覚的に理解したかっただけの話です。良くある「比喩」の世界の話です。。。。。
 う〜ん、言い訳がましいのは、自分の言うことに自信が無いせいでしょうか???

【アイコムサポートセンターへの質問と回答】(2006/03/06追加)

 アイコムサポートセンターへサイドトーンを使用しての校正について問い合わせたところ、

 「基準周波数の校正は、マーカーの周波数を使ってください」

 との回答でした。
 アイコムのマニュアルでは、専用の1000Hzマーカーを使って校正する様に記述されています。
 私が測定した限りでは、専用のマーカーを使って測定したものと、600Hzのサイドトーンを使って校正したものとの差は測定誤差(0.1Hz以下)程度しかありませんでした。 また、専用のマーカーを使ったときは、BPMの信号強度によってはダブルビートのレベルが低く調整しづらく感じました。 サイドトーンを使ったときには、ダブルビートのレベルも高く明瞭で非常に調整がし易く感じました。 専用のマーカーを使うべき合理的理由がどこにあるのか良くわかりませんでした。

2006/02 PC-TRX-IF の設計と製作(久しぶりに真面目に設計・製作しました)

 以下のとおり予備実験で大体のレベル関係がわかったので

 いよいよPC-TRX-IFの製作にかかる事にしました。回路図をBSch3Vで書き下ろし、エクセルで実装図・ケース加工図・化粧パネル図を作っておきます、製作過程での修正は適宜書き加えていくことにして、当初方針通りにスタートしました。

PC-TRX-IF 回路図(png、拡大して見てください。戻りはブラウザの「戻り」で)

PC-TRX-SW-BOX 回路図(png、拡大して見てください。戻りはブラウザの「戻り」で)

PC-TRX-IF 実装図・ケース加工図(LZH圧縮) ケース加工図はCanon-iP4100で原寸に印刷されます

 最初は、USB-IF関係のユニットをばらしてケースから基板を出し、不要なケーブルやコネクタを外します。
 USB-Hubは安いだけあってベークの片面基板にICチップ直付けでした。4-Portのうち2-Portしか使わないので残り2-Port部分の基板はカットして切り落としておきます。また、USBコネクタもはずしてしまいます。実はこれが後でトラブルの元になったのですが、それは後で。
 USB-Audioは結構しっかりした作り、4層ガラエポで外層、内層ともに余った部分はグランドパターンにしてあるようで、15Wの小さな半田ごてではアースランドの半田がなかなか融けません。久しぶりにしっかりした基板に出会いました。仕方ないので大きな鏝を持ち出してきて作業を継続です。
 ばらし終わったところで、まずはUSB関係だけ組み上げて動作を確認しておく事にします。 ところがPCにつないで見ると、どうもハブの認識がおかしいのです。 一瞬基板を壊してしまったかと思いましたが、よく調べていくと、グランドパターンがつながっていません。何とUSBコネクタを通してつなげてあったのです。USBコネクタは邪魔なので取り払ってしまっていたのですが、USBコネクタを通してグランドがつながっているとは思いませんでした。 私が現役のときは、まさかこんな設計はしなかったのですが、さすがに小型化・低価格化の為でしょうか?? コネクタをはずすと、接続が切れるとは思いもしませんでした。わかってしまえば後は安心、グランドパターンをジャンパーして、再びPCにつないで見ると、何事も無かったように問題なく認識されました。

 USB関係はこんな感じ、左はばらした状態、右は、3枚のUSB関係基板を積み重ねて実装した状態を横から撮ったところ、近すぎてちょっとピントがずれていますが、究極の3次元実装と言ったところでしょうか? 実装図を見ていただければ位置関係がわかると思いますが、一番下がUSB-Hub、2番目がUSB-Serial、一番上がUSB-Audio、それぞれ、USBの4本線を錫メッキ線で接続しています、まるで昔のハイブリッドICの様です。

 上記のUSB関係基板に加えて、PTT-IF回路、Key-IF回路、CIV-IF回路、電源回路などを70x90の蛇の目基板に実装しました、ケーブルを減らすためコネクタ関係も出来るだけこの基板に直付けにしました。
 オーディオ関係の回路、モニタ用の回路などは、ヘッドホンアンプ基板の空きスペースに組み上げました。
 マイクアンプは最初は既存のものを改造して使用する予定でしたが、若干ゲインが足りないので、新たに基板を作りました。
 最後に、これら3つの基板を編組線で接続し、また、基板内のグランドラインを編組線で補強しておきました。

 完成した基板はこんな感じ、左は3つの基板の表の様子、右は3つの基板の裏、編組線による補強の様子がわかります。パネルにつく部品は内側から取り付けられるものを使い、バラックでの仮配線がそのまま使えるようにしてあります。
 今回は、@USB-Audioを使い、オーディオのケーブルを短く出来たこと。Aさらに、トランスやフォトカプラを使ってPCとトランシーバのグランドラインが不用にループしないようにしたこと。B最初からマイクライン、電源ラインにフィルタを入れていたこと。Cそれになんといっても、この編組線でグランドラインを強化したことで、バラック状態でフルパワー(と言っても50W)でテストしても回り込みはありませんでした。
まあ、どれが効いているかわかりませんが、すべてが重畳して良い状態になっているようです。配線は太く短くに越したことはありません。

 左は今まで使っていたケースを若干修正して加工し終わったところ。例によって印画紙による化粧パネルが貼り付けてあります。
 右は、IC-756PROとIC-706MKIIGとの切り替えボックス。仕様ではインタフェースのレベルが同じなのだけれど、なぜか実測では違うので、この中にアンプを入れてレベルを調整、スイッチを切り替えれば、それぞれのレベルに合うようにしています。

 ケースに組み込んだところを、右上面と左上面から撮ったもの、旧SSTV-IFは繰り返す改造・追加・修正によりスパゲッティ配線状態でしたが、今回のものは、かなりすっきりしました。それでもシールド線が結構使われています。

 PC-TRX-IFとSW-BOXを並べたところ、右はカバーをした状態。パソコン用のヘッドセットは安く入手できる割には、周りの音を拾わずに結構良い音がします。また、両手が空くのでキーボード操作が便利です。 手前のスイッチはPTT用です。プッシュ型とスライド型を並列につないでいます。長くしゃべるときはスライド型を使用します。

 左はIC-756PROの上に納まったところ、当初計画どおりPCとの間はUSBケーブル1本で接続します。 ヘッドセットのケーブルに回り込み防止用のコアなども無くすっきりしています。 IC-706MKIIGは上の段にあります。 右は繰り返す改造・追加・修正によりスパゲッティ配線状態の旧SSTV-IFの中身。

 調整ボリウムは、各ソフトの入出力レベル、トランシーバの入出力レベルが違うので以下のとおりの手順で調整すれば、各ソフト、トランシーバのレベルを合わせることが出来ます。
 私の場合は、HamPalが一番レベルが低く、その他のソフトとではかなりレベルが違っているのと、IC-756PROとIC-706MKIIGで変調入力レベルが違っていたのでこれらを吸収するように調整しました。なお、当然のことですが、調整中はダミーロードにつないで調整します。
@HamPal、MMSSTV、MMTTY、MMVARI、CwTypeなどのサウンドカード設定をUSBオーディオのポートに設定しておきます。私の場合 HamPal や CwType では C-Media USB Audio Device と表示されていました。また、MMシリーズでは Device ID が2でした。
APCのボリウムコントロールの入力レベル・出力レベルは個別・マスターともに最大に設定しておきます。このとき間違えて通常のサウンドデバイスのボリウムを設定しないように、必ずインタフェースに使った USB Audio Device を選択して、このボリウムを設定するようにします。
BPC-TRX-IFの前面ボリウムは12時の位置にしておきます。MOD -20dB はOFFの位置に。切り替えボックスはIC-756PRO側にしておきます。トランシーバはコンプレッサは無し、メーター表示はマルチメーター表示にしておきます。
CHamPalを起動しTuneでALCメータが振れる直前にTVR1(PC-Level)を調整します。
DMMSSTVを起動し1750でALCメータが振れる直前にデジタル出力レベルを調整します。
 MMTTYとMMVARIのデジタル出力レベルをMMSSTVのデジタル出力レベルと同じ値に設定します。
 これらの設定が確定したら、ヘッドセットで1750トーンが適当なレベルでモニターできるようにTVR5(MOD-Monitor)を調整します。
EトランシーバをCWモードにして、CwTypeを起動し Sp: を100程度に設定して「vvvv...」とでも打ち、サイドトーンできれいな符号が出るようにTVR2(Key-Level)を調整します。
FトランシーバをSSBモードにして、PTTスイッチを押し、ヘッドセットのマイクに、通常のレベルで「ただいまテスト中」とでもしゃべり、ALCメータが振れる直前にTVR4(Mic-Level)を調整します。大きな声、又は、口笛でもALCの規定ゾーンを超えないことを確認しておきます。
G次に切り替えボックスをIC-706MKIIG側に切り替えます。HamPalを起動しTuneでIC-706MKIIGのALCメータが振れる直前に切り替えボックスの中のTVR1(706-MOD-Level)を調整します。
H以上が終わったら切り替えボックスをIC-756PRO側に戻し、トランシーバーにアンテナをつなぎ、ヘッドセットに適当なレベルで受信モニターできるようにTVR6(AF-Monitor)を調整します
ITVR3は真ん中あたりにセットしておきます。これは当初計画と違い使い道が無くなりました。このスイッチの穴は、コンプレッションアンプを組み込んだときのレベル調整ボリウムに使うことを検討しています。
 以上で設定するところは終わりです、最後にいろんなモードで使って問題ないことを確かめます。

 以下は各部の信号を USB-Audio 経由 WaveSpectra で取り込んだ結果です。予備実験の結果よりもトランスを使った分、高域がほどよく落ちてスッキリしているように思えます。
 これは、HamPal-TuneとHamPal-ColorBarの信号です。

 これは、MMSSTV-1750とMMSSTV-ColorBarの信号です。

 これは、Micによる「ただいまテスト中」「口笛」、および、BPM受信信号です

 最後に、クロックの調整をしますが、前に使っていた内蔵型のサウンドカードと違って、クロックがかなりずれています。またTX-Offsetも結構大きなものでした。従来の内蔵型であれば、クロックはほぼ11、025Hz、Offsetはゼロでよかったのですが、私の場合ではクロックは11,026.07Hz、Offsetは-10.54Hzでした。 独立クロックだからでしょうか? それともクロックに安いセラミック発振子でも使っているのでしょうか? 実装前に確認しておけばよかったと思っています。 まあ、通常の使い方では、そんなに精度がいるとは思えない用途ですからこんなものなのでしょうか?

 なお、IC-756PROはアクセサリ端子から入力してもマイクコンプレッサはかかるけれど、IC-706MKIIGはアクセサリ端子からの入力にはコンプレッサがかからないようなので、コンプレッサは設定せずに、マイクアンプの中にコンプレッサ回路を組み込む予定で検討中です。
 各社、各ソフトレベルがばらばらなのは仕方ないとして、同じメーカーのものさえ、レベル・設計思想が違うので、複数セットを共通に使うには苦労します。

【追記】 サウンドデバイスのクロックについて

 完了したと思って、しばらくワッチしていたら、どうも動作がおかしい。時々何かの拍子でクロックがずれる様なのです。調べてみたら、以下の3つの状態のどれかになるようです。
   受信クロック 送信クロック TX Offset
   11026.07Hz  11016.16Hz  -10.54Hz
   11026.07Hz  11099.91Hz   73.84Hz
   11101.07Hz  11099.91Hz   -1.16Hz
 症状からして、ノイズによる誤動作の可能性が高そうです。USB-AudioのマニュアルでUSB-Hubを使ったときの保証無しというのはこれかもしれません。そういえば、TRX側のグランドは結構補強したし、パスコンもしっかり入れておいたのだけど、PC側のほうはそれほど気にしていませんでした。

 仕方が無いので、せっかくケースに入れた基板をもう一度出して修正します。USBコネクタからUSB-Audioまでのグランドラインを編組線で補強し、電源ラインも直接接続します。さらに、念のため、電源ラインに0.1uのセラミックコンデンサと10uの電解コンデンサを入れておきました。これで、良いと思いますが、前の症状からして、しばらく様子を見ることにします。

【追記-2】

 グランド・電源強化とは関係なくまだ、クロックが飛びます。念のため、C-Media提供のドライバをはずしてみました。バーチャルサウンドなど高度な効果は必要ありませんし、このアダプタはMSオリジナルのドライバでも最低限の機能だけは動くようです。
 C-Mediaのドライバをはずすと、マイクインのレベルがかなり上がります。C-Mediaドライバで20dBブーストと言うのは、単に抑えていたレベルを戻しただけのようです。この状態でのクロックは
   受信クロック 送信クロック TX Offset
   11101.07Hz  11099.91Hz   -1.16Hz
になっていました。まだ、何度も電源を入れなおしたりしていませんので、これでしばらく様子を見ます。C-Mediaのドライバはずれの度合いによってなるべく標準周波数を使うように補正しているのでしょうか? ずれたらずれたままで固定のほうが使いやすいのですけど。 MSのドライバはOffsetが最小になるように補正しているのでしょうか? いずれにしてももう少し様子を見ます。

【追記-3】

 その後、クロック飛びはありません。順調のようです。

 ちなみに、このPCには3つのサウンドデバイスをつなげていますので、他のサウンドデバイスのクロックを計ってみました。MMSSTVのクロック補正機能を使って、受信クロックは10MHzのBPMを受信し、送信クロックはMMSSTVのPTTを動作しない設定にして、サウンドデバイスの出力と入力をケーブルでつないで測定しました。
   サウンドデバイス 受信クロック 送信クロック TX Offset
   0:SigmaTel    11024.90Hz  11331.15Hz  306.25Hz   PC内蔵のデバイス
   0:SigmaTel    10799.90Hz  11099.90Hz  300.00Hz   クロック飛びがありました
   1:SoundStation  11099.87Hz  11099.87Hz   0.00Hz   USB形式の別のデバイス
   2:C-Media     11101.07Hz  11099.91Hz   -1.16Hz   PC-TRX-IFに使ったもの
内蔵のサウンドデバイスでもクロック飛びはあるようです。訳が解らなくなって来ましたが、これを見ていると、高度なサウンド機能をもっているドライバは何らかの補正を掛けている為にクロックが飛ぶように見えます。SoundStationは独自のドライバは無くMSオリジナルのドライバのままです。また、C-Mediaのクロック飛びもドライバを外したら無くなった様ですし、OffsetもMSオリジナルドライバのままのときが少ないようです。どうなんでしょうか? 理由がわからないので、気持ちが悪いですが、とりあえず、日常の運用には問題が無いようになりました。 PC内蔵のデバイスも音楽を聴いている分には何の問題もありません。

 負け惜しみではありませんが、まあ、趣味の世界ですし、何も問題が起こらなければ通り過ぎたような現象も、問題が起これば、対応のため、色々調べなければなりませんし、その過程で色々考えて勉強になります。

 なお、ここで言うPCは新しいPCで、このPCのサウンド機能は5.1チャネルとか言う新しいサウンド機能対応になっています。旧SSTV-IFは単純サウンドしか付いていない古いPCにつないでいましたので、クロック飛びの現象には遭遇しませんでした。

【アイコムサポートセンターへの質問と回答】(2006/03/08追加)

 アイコムサポートセンターにIC-756PROとIC-706MKIIGの @MOD端子の入力感度の違いと Aマイクコンプレッサの違いについて質問しましたところ、以下のような回答でした。

 @IC-756PROとIC-706MKIIGのMOD端子の入力感度の違い
  「お互いの無線機の送信回路における送信ゲインが異なりますのでレベルの比較のしようがありません。」
 AIC-756PROとIC-706MKIIGのマイクコンプレッサの違い
  「各無線機の回路の仕様になります。」

 @については質問の仕方が悪かったのかもしれません、再度、こちらの理解度を記述して質問し直しています。
 Aについては予想通りの回答です、せっかくついているのにもったいないですが、外付けでコンプレッションアンプを追加することにします。

【@について実際に測定してみました】(2006/03/16追加)

 IC-756PRO(50W) および IC-706MKIIG(50W)のMOD端子-PO/ALCの入出力特性をとってみました。
 結果は以下のとおりです。正確な測定器が無いので誤差はあると思いますが傾向はわかると思います。

 測定はMOD端子側にPCより1750Hzのサイン波を加え電圧はオシロでP-P値を測定しRMSに換算しました。 また、トランシーバの出力はダミーロード(自作)に接続し、POおよびALCはトランシーバのバーグラフを読み取っています。 バーグラフのフルスケールで飽和していますが、これ以上目盛りが無いのでなんともいえません。

@IC-756PROはMOD端子入力35mVRMS付近でほぼフルパワー(50W?)となる。
 なお、アナログメーターで見る限りパワーは飽和している模様。
AIC-756PROはMOD端子入力45mVRMS付近よりALCが立ち上がる。
BIC-706MKIIGはMOD端子入力300mVRMS付近でほぼフルパワー(50W?)となる。
AIC-706MKIIGはMOD端子入力450mVRMS付近よりALCが立ち上がる。

 IC-756PROは購入と同時にメーカーで50Wに変更設定していただいているので、MOD端子も仕様の半分の50mVRMSで飽和すると受け取れば、-30%のずれで、余裕を持った値として、まあ、わからない値でもない ような気がします。
 IC-706MKIIGは最初からMモデルですので、仕様の100mVRMSからは+200%とかなり、はずれているように思います。しかも感度が悪いほうにずれています。

【バーグラフ目盛と出力電力の校正をしてみました】(2006/03/18追加)

 順番が逆になってしまいましたが、上の測定で採用したトランシーバのメーター表示(バーグラフ目盛)と出力電力の対比を校正してみました。
 トランシーバにダミーロードをつなぎ、ダミーロードの両端のピーク電圧をオシロで測定し、電力に換算しました。 ダミーロードの定格電力(?)は20Wですので、ドライヤーを冷風モードで風を吹きかけながら(強制空冷!!)短時間で測定しました。 最大電力ではダミーロードの抵抗は触ると熱くなっていましたが、焦げたり煙が出たりはしていませんので大丈夫そうでした。 IC-756PRO は PO の31目盛のうち最大パワーでも 30 目盛までしか振れませんでした、IC-706MKIIG は 15 目盛のうち 15 目盛まで振り切っていました。 またオシロは帯域が100MHzまでのものなので、144MHzの測定値は補正してみました。 絶対値は誤差があると思いますが、相対値はそこそこではないかと思っています。
 結果は一目瞭然ですが、メーター表示(バーグラフの目盛)もそこそこの精度を持って直線性があるようです。
 ちなみに、50Wを加えると50オームの両端にP-Pで140V強の電圧が加わっています。 感電しないように、十分に取り扱いに注意が必要と改めて実感しました。

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