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2007年4月

改訂:2007/04/25

2007/04 パソコン時計の精度・校正

 WSJT を使って交信していると、結構、時計の精度が気になってきます。 相手局の時計の誤差が悪い方向に重なると、自局の時計の誤差が 0.5秒もずれると、うまくデコードできなくなってしまいます。 WSJT のマニュアルには時計は 1秒以内に合わせなさいと記述されています。 そこで、我が家のパソコンの時計がどれほどなのか測定してみました。

 下の写真は、朝、パソコンの電源を入れてからの 30分ごとの時刻のずれ具合です。 暖色系の3本の線はメインのパソコンの時計の3日分のデータです。 寒色系の2本の線はサブのパソコンの2日分のデータです。 途中で0.5秒シフトしているのは、0.5秒以上ずれると修正するプログラムのせいです。

 これを見てみると、結構ずれているものですね。 パワーオンしている昼間の12時間ぐらいのあいだにほぼ1秒ずれています。 パワーオフしている夜のあいだには1〜2秒ずれています。 これでは、6時間ごとぐらいに補正しておかないとWSJTでは使い物になりません。
PC_Clock-1
 こちらは、時刻補正用のプログラムです。 いろんな種類の時刻補正用プログラムが有りますのでどれでも同じように動作すると思いますが、私は「iネッ時計」と言うのを使ってみました。 実行間隔は30分で良いと思いますが、誤差許容値は200〜300mSぐらいの方が良いのかもしれません。
PC_Clock-2

2007/04 1200MHzレピータ・アクセス・マップ

 1200MHz 23EL-Loop-Yagiを上げて、いくつか、1200MHzのレピータにアクセスできることが分かったので、CQ誌付録の2007年ハム手帳のレピータ局リストを見ながら、他局に迷惑を掛けない様な時間に各レピータにアクセスして信号強度を確認してみました。 下のマップがその結果ですが、結構、多くの局にアクセスできます。 数えてみたら、合計40局になっています。

 やはり、山の上に設置されている局はSメーター振り切れで大変強力に入感してきます。 大阪市内の局も強力に入ってきます。 ビルの上に設置されているのでしょうか? Google Earth とカシミールによる我が家の地形で示した見通し範囲内の方面がやはりよく入感しています。 特筆すべきは和歌山市内設置の局が弱いながらも入感していることでしょうか。
1200MHz_Repeater_Access_Map

2007/04 DRMDV の試験 ( melp_1400.dll の情報はこちら)

 WinDRM をデジタル音声通信専用にした、新しいコンパクトなソフトがリリースされました。 コーディック用の実行ファイルが添付されていなくて、メーリングリストでもめていましたが、コーディック用の実行ファイルもパッチ作成パッケージとして、別に提供され、メーリングリストの議論も沈静化したようです。

 HB9TLK 作のこのソフト、サブタイトルが「HF 用の新・強力(ノイズに強い?)デジタル音声モード」となっています。 解説によれば、

@ 簡単な DV(Digital Voice) だけのユーザーインタフェースで簡単操作。
A SNR が 6dB 以下の微弱信号の復号ができるように改善。
B それにもかかわらず、音声品質は、前作の WinDRM より若干低下で維持。
C HF での DV 挑戦のため、DRM/OFDM の符号化形式の変更をしたので WinDRM とは非互換。
D 但し、サウンドカード構成、PTT 制御、TX/RX 要求仕様は互換を維持。
E 2枚のサウンドカードを使えば、RX/TX のケーブル交換は不要。
F コーデックは MELP と LPC が使われているが、MELP の方が音声品質が良い。
G しかし、MELP を使うには、低速(1400BPS)用の MELP 実行ファイルをユーザー自身で作成(DIY)しなければならない。

 と言うことで、以下のファイルが必要の様です。
 drmdv143.zip  DRMDV 本体、N1SU の DRMDV のサイトより DL できます
 patch.zip     melp_1400.dll 作成用パッチファイル、N1SU の DRMDVのサイトより DL できます
 melp_dll.zip   オリジナル melp.dll、N1SU の WinDRM のサイトより DL できます

上記のファイル以外に以下のものがありますが、必ずしも必要ではありません。
 DRMDV_v1_0.pdf     DRMDV の説明用 PDF ファイル
 audioconv.zip       melp --> wav コンバータ (ユーティリティ)
 AudioConvertV1r0.zip  audioconv の説明ファイル

 audioconv は DRMDV のタスクバーの DRM Setting で Save Audio にチェックを入れているときにフォルダ内に作成される melp 形式のファイルを wav 形式に変換して、通常の音楽プレイヤーで聞ける様にするもので、WinDRM で使用していたものと同じです。 DRMDV での通信時には直接は必要ありません。

 また、melp の符号/復号には低速(1400BPS)用に作成された MELP 実行ファイルが必要であり、WinDRM で使われている melp.dll は2400BPS用であり、これを流用すると、フレーム構成が違うので正しい音声になりません。

 なお、パッチというややこしい形で配布されるのは、2400BPS用の melp.dll のアルゴリズム・ソース・オブジェクトは全権利が TI社の IP(知的財産権) になっている様で、改変して配布することには問題が生じるからのようです。(音声コーデックは各企業の IP戦略の核になっているところです。 ちなみに、MELP は携帯電話のコーデックに使われています。)

DIYの手順 (作るのが面倒な方はこちらの情報をどうぞ)
【補足(2007.04.14)】 このパッチによる方法は、N1SU のサイトより削除されているようです。
  現在、推奨されている方法は ソースコードを変更してコンパイルし直す方法 だけのようです。

 低速(1400BPS)用の MELP 実行ファイルをユーザーで作成(DIY)するには以下の通り実行します。
@ patch.zip を C:\patch に解凍します。
A melp_dll.dll を C:\patch にコピーします。
B Windows の スタート − アクセサリ よりコマンド・プロンプトを起動します。
C コマンド・プロンプトのWindow 内で以下のコマンドをたたきます。
  c:
  cd \patch
  bspatch.exe melp_dll.dll melp_1400.dll patch.bs
D C:\patch に出来上がった melp_1400.dll を DRMDV をインストールしたフォルダにコピーします。

 あとは DRMDV を実行し、各種セットアップをして、コーデックに melp を選択すれば良いようです。

 下の写真は、DRMDV を2つ立ち上げて、一方で送信(左下)、一方で受信(右下)をしているところです。 受信側はスペクトラム表示にしています。 パイロット信号は WinDRM の3波 (725Hz、1475Hz、1850Hz) から2波 (950Hzと1850Hz)に変更になっています。
DRMDV-1
 WaterFall 画面です。 2波ですので、見慣れた3本線から2本線になります
DRMDV-2
 下の写真は、MSC Phase/Amplitude を選択したときです。 HF のノイズやQSB対策でしょうか、4-QAM を採用しているようです。
DRMDV-3
 cq.wav と id.wav も作成してみました。

 cq.wav はサンプリング周波数が 8,000Hz であれば、適当な wav ファイルで使えるようです。 但し、テストした感じでは、かなり録音レベルを下げていないとオーバーレベルになって、音声が歪むようです。 私は、パソコンによる合成音声のファイルを作ってみました。 ちょっと再生音がいまいちですが、まあ、お遊びと言うことで。

 id.wav は WinDRM の id.wav がそのまま使えますが、サンプリング周波数が 48,000Hz で無ければならないようです。 下の写真は新たに作った id.wav を動作させているところです。 画像は上から下に流れます。

 なお、cq.wav と id.wav の汎用版(自局コールサインを省いています)の2つのファイルをパックしたものを以下に置いておきます。

 DRMDVファイル・パック(LZH圧縮、981kB)

melp_1400.dll について
 改変した melp_1400.dll の再配布はTI社のIP(知的財産権)の問題がある様なので DRMDV ファイル・パックからは外しています。 興味ある方は、(ja2grcアットマークjarlドットcom : アットマークは @ に、ドットは . に変更) 宛に連絡ください。
DRMDV-4

2007/04 1200MHz 23EL-Loop-Yagi

 ブログの 1200MHzアンテナ で、紹介しましたが、1200MHz用のアンテナを上げました。

 1200MHzのリグや変更申請は先に準備できていたのですが、アンテナの準備が間に合っていませんでした。 なんせ、1200MHzをやるのは初めてですし、手持ちの測定器類は、144MHzぐらいが上限で、せいぜいがんばってみても430MHzが参考程度に測定できるかと言うところですので、アンテナを製作すると言ってもどうして調整しようかと、「うじうじ」していて、なかなか決まらずに、材料の調達も遅れていました。

 そうしたら、ローカル局からお声掛けいただき、1200MHzのアンテナをQSYしていただけるとのことでしたので、早速、いただきにお伺いしました。 1200MHzのループで、23エレの立派なものです。 以前に使われていたそうで、動作の実績もあり、私のような測定器なしのものには有り難いものでした。

 アンテナ本体だけをいただいてきたので、久しぶりに、屋根の上に上がって、どうやって取り付けるか構想を練ってみました。 さらに、手持ちの部品と、近くのホームセンターを覗いて、手軽にできそうな材料を見て回ってきました。 結果、以下の様な構造で取り付けることにしました。

@ ケーブルは8Dタイプで10Dタイプと同じ超低損失性能を出すF社の高発泡PEタイプの8D-SFAを発注しました。 長さがわからなかったので、とりあえず多めに30mにしておきました。 30mで3.9dBのロスです。 トランシーバ出力で2.45W出して、30m先のアンテナ接続端で1Wの出力になる勘定です。 届いたケーブルは8Dとは言え、12mmΦほどもあり、曲げたらそのまま形が残り、リジットタイプに近い感じです。 こんなに太い同軸を使うのは初めてです。

A ブームにぴったりはまるステンレスパイプを百均で入手し、これを反射板の後方に伸ばして、この伸ばしたパイプでマストのポールに取り付けることにします。こうすれば、マストの影響を受けにくくなるとの思いです。 この後方に出たポールは切断せずにケーブルをはわせ、ケーブルの重さで全体のバランスをとることにします。

B マストへの取り付けは、ホームセンターで手頃な板と配管取り付け用のサドルを組み合わせて十字型に取り付けることにしました。 垂直のマストに合うサイズのものが無かったので、144MHzと430MHzのアンテナを支えている水平のパイプに取り付けることにしました。 左下の写真が下側から見たところ、右下の写真が真上からみたところです。 さび止めのスプレーを塗っているので、真っ黒になっていますが、感じはわかると思います。
1200MHz_23EL-Loop-Yagi-1
C 十字型の取り付けだけでは非力なので、垂直方向と水平方向に塩ビパイプで「筋交い」を入れてみました。 これで、垂直・水平ともにビクともしなくなりました。 左下の写真が「筋交い」の様子です。 塩ビパイプですので耐候性があり、アンテナパターンにも影響しないとの予測です。

 右下写真の真ん中に見えているのが、ルーフタワーに上がった、1200MHz-23ELループ八木アンテナです。
1200MHz_23EL-Loop-Yagi-2
 アンテナを上げる前に手持ちのリターンロスブリッジ+GigaStでみてみましたが、全然測定範囲外でしたので、思い切ってそのまま上げてみました。 だめだったら、またおろしてみればいいや、ぐらいの気持ちで上げました。

 太い同軸ケーブルをリグのあるところまで引き込んで、早速、聞いてみると結構聞こえてきます。 試しにいくつかのレピータにアクセスしてみると、しっかりリターンが戻ってきます。 途中、障害物のない南西方向の吹田市のレピータでS9+40dB、北側の石清水八幡宮の小山を超えていく京都市内のレピータでS9ぐらいで戻ってきます。 ちなみにビームを振ってみますと、15〜20°ぐらいでSが結構落ちます。 なかなか鋭いビームパターンのようです。

 ちなみに、安定しているレピータを受信しながらアンテナを回して、受信機のSメータでとったビームパターンは下の写真の通りです。 S1=6dBとして換算して表してみました。 アンテナを回す途中で結構Sメータは上がり下がりしていましたが、とりあえず10°おきにプロットしてみました。 もっとSが落ちている部分もありそうでした。 FB比で40dB近くはあるでしょうか、まずまずです。

1200MHz_23EL-Loop-Yagi-3

 さすがに30mの同軸は長すぎました。 余った同軸が部屋の中でとぐろを巻いていますので、時期をみて、適当な長さで切断する予定ですが、まずは、これで、しばらく楽しめそうです。 貴重なものをQSYしていただいたローカルのOMさんには感謝感謝です。

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