改訂:2007/07/12
2007/07 SDR の周波数設定と他のバンドワッチ
Rocky 3.32 をテスト で、CQ 誌 12 月号付録の SDR 基板と Rocky 3.32 の組み合わせが結構使い物になることが分かったので、前から気になっていた周波数のずれを補正してみました。
下の写真は、CQ 誌 12 月号付録の SDR 基板のクロックを IC-756PRO でとらえたところです。 MMVARI(その下の写真)を併用して、サイドトーンの 600Hz とのダブルビートを使って測定してみました。 結構ずれていますね。 水晶の刻印は 14.0600 となっているのですが、約 610Hz 上側にずれています。 ICS512M という IC を使って直接、発振・分周・逓倍させていますので回路上の問題かもしれません。
(IC-756PRO で見た CQ誌 12 月号付録の SDR 基板のクロック)
(MMVARI で見た CQ 誌 12 月号付録の SDR 基板のクロック)
局発が 14MHz で 610Hz ずれていると言うことで、各逓倍での周波数を計算してみました。 ついでに、スイッチのポジションとの関係を表にしてみました。 オーディオ IQ 出力ジャックを左に、アンテナ端子を右になる様において。 M-S スイッチは「↑」が向こう側、「↓」が手前側にスイッチレバー倒れた向きです(この写真の向きです)。 S1、S0 スイッチは「←」が左側に、「→」が右側に、「○」が真ん中のポジションを示します。 この表が有るとスイッチ切換がわかりやすくなります。 3.5、7、14、21、28MHz はハムバンドですが、それ以外の周波数は、ハムバンドを外れています。 まあ、5バンド楽しめるだけでもよしとしましょうか。
さて、上記の表をベースに、Rocky のディレクトリにある、Rocky.ini の [Bands] セクションを以下の様に修正・追加します。 MHz の右側に簡易的にスイッチ表示を加えてみました。 M-S スイッチ、S1、S0 スイッチの順です。 「V」は手前向き、「A」は向こう向き、「>」は右向き、「<」は左向きのつもりです。 こうしておけば、次で説明する Rocky の周波数切換選択を表示した時に、SDR 基板のスイッチの向きも簡易的に分かりますので、周波数−スイッチ対応表を見なくても分かります。
Rocky.ini を修正・保存してから、一旦、Rocky を終了し、再起動すると、下の写真の様に、右上の周波数表示の右側の矢印をクリックすると、バンド選択のプルダウンメニューが出てきます。 このメニューの周波数表示の右側にある簡易表示に従って SDR 基板のスイッチを切り換えると受信周波数が替わり、このプルダウンメニューを選択すると周波数の表示が変わります。
さて、これで、Rocky の周波数を補正しましたが、実際にはどうなんでしょうか? 下の写真は IC-756PRO+WSJT と SDR+Rocky+WSJT をそれぞれ 14.07550MHz に設定して、同じ局を受信した時の表示です。 時間は 2 分違いの信号ですが、DF=552Hz/-4dB と DF=546Hz/-5dB となっています。 6Hz 違っていますが、これは Rocky の周波数ステップが最小で 12Hz ステップとなっているからで、デジタル誤差の範囲でしょう。 ここまで合えばまずまずでしょうか。
( IC-756PRO+WSJT で 14.07550MHz を受信した時の表示)
( SDR+Rocky+WSJT で 14.07550MHz を受信した時の表示)
さて、そんなわけで、周波数の設定を終わり、他の周波数を聞いてみることにしました。 7MHz と 14MHz はいつも聞いているので置いておくとして。 最初は 3.5MHz です。 夜の 3.5MHz は賑やかですね。 びっしり埋まっています。
次は 21MHz です。 3.5MHz や 7MHz とは比べるべくもないですが、それでもたまたま、VK4 の BPSK が聞こえていました(ウオーターホールの方のテキスト欄)。
次は 28MHz ですが、これはさすがに、何も聞こえません。 夜である事も原因でしょうか。 アンテナも専用のアンテナではありませんしね。 28MHz は IC-756PRO でも滅多に聞こえてきませんから。 こんな物でしょうか。 取り敢えず、これで、あの、CQ 誌 12 月号付録の SDR 基板で、3.5、7、14、21、28MHz のハムバンドをワッチすることが出来る様になりました。
2007/07 Rocky 3.32 をテスト
ソフトウエアラジオ Rocky が 3.32 にバージョンアップされ、かなりの機能アップされたようですので、色々試してみました。
バージョン 3.30 で送信機能が付加され、バージョン 3.31 では BSPK 機能が付加され、更にバージョン 3.32 では VNA 機能が付加されました。
下の写真は、バージョン 3.32 のメイン画面です。 Tx ボタンが新たに追加されて、トランシーバの様相を呈してきました。
下の写真は、CW モードの時の受信画面をウオーターフォール表示にしたときです。左の大きな画面が比較的速く流れる画面で、右の小さな画面がゆっくり流れて長時間の表示が出来る画面です。 CW の信号がちょうど昔の紙テープに記録する電信受信機の様に綺麗に見えています。 ウインドウサイズを縦長に設定すれば、バンド中が見渡せて便利です。
右上の周波数表示の右にある +0.00 をクリックすれば、スプリットで運用できます。 1度クリックすれば表示が赤く替わりスプリット運用であることを示します。 もう一度クリックすれば元に戻ります。
スプリット運用時にウオーターフォール画面上で左クリックすれば、緑の矢印が表示されて受信周波数を示します。 同時に右上の周波数表示(緑色)が変わります。
ウオーターフォール画面上で右クリックすれば、赤の矢印が動いて送信周波数をしまします。 同時に右上の表示周波数の右の数字(赤色)が変わります。
また、選択周波数を示す赤色の矢印の右側の上端をマウスで掴んで上下すればフィルタの帯域を変更できます。
真ん中のダイアログは、電信用のコンソールで、パドルや PTT の接続設定、それに、キーヤーの速度の設定などが出来ます。
下の画面は、BPSK モードの時の画面です。 画面の下の方に1行のテキスト欄が出来て、ここに解読されたテキストが表示されます。 黒字は正常に解読された文字、灰色はエラーの文字、ピンク色はエラー訂正された文字を示します。 なお、このエラー訂正はテキスト欄を右クリックすると出てくるプルダウンメニューで ON-OFF 設定することが出来ます。
また、テキスト欄の右端には四角いランプ表示があり、BPSK 信号の状態を表示します。 灰色:受信停止、黒色:無信号、黄色:劣悪な信号、緑色:良質信号、白色:アイドル信号、赤色:送信中、マゼンタ:送信終了、の表示となります
真ん中の表示は BPSK 用のコンソールで、左端が選択周波数から信号周波数のずれ(捕捉状況)を、真ん中が BPSK のビット同期周波数を、右端がビット中心の位相揺らぎを示しています。 まあ、これを見たから、どうって事はないのでしょうが、信号の質を表示しているものでしょうか。
なお、残念ながら、現在のバージョンでは漢字は表示してくれないようです。
下の画面はBPSKモードで送信中の画面です。 キーボードから文字を入力すれば、テキスト欄に赤字の下線付きで表示され、送信されると下線が外れます。 このときバックスペースも使えます。
また、マクロが使え、ファンクションキーと Ctrl、Shift、Alt の組み合わせで送出されます。 マクロは Rockyフォルダにある Macros.ini をテキストエディタなどで編集することで作成・修正できます。
Call と Name はマクロの中で変数として使えます。 テキスト欄のコールサインをクリックするとグリーンに変わり Call として認識されます。 また、名前をクリックするとブルーに変わり Name として認識されます。 この Call と Name は Ctrl-E を押すか、テキスト欄を右クリックして出てくるプルダウンメニューを選択することで編集することが出来ます。 なお、Call と Name の編集中は Enter を押して編集を終了するまでは他の操作は無視されます。
先般の M0KGK と WSJT の組み合わせ と同じように、Rocky を USB または LSB に設定して WSJT と組み合わせれば、下の写真の様に、WSJT の信号を受信できます。
下の画面は、バージョン 3.32 で新たに付加された VNA(Vector Network Analyser) のキャリブレーション画面です。 ちゃんとした送信機がつながっていませんので、表示はいい加減ですが、こんな感じの画面になります。
こちらは VSWR のキャリブレーション画面です。 こちらも表示はいい加減ですがこんな感じです。
同じく VSWR の表示画面です。 こちらも感じだけです。 こうなってくると、CQ 誌 12 月号付録の SDR 基板相当の送信機能が欲しくなってきますね。
2007/07 SDR で WSJT を受信
このところ、WSJT に嵌っていて、「ものづくり」に、とんと、ご無沙汰です。 ホムページの方も、ブログへの記述に偏っていました。
と言うことで、久しぶりに、ホームページ・アマチュア無線の更新です。
昨年末の12月のCQ 誌付録の SDRは随分楽しませていただきましたが、一通り、楽しんでしまうと、その後は、机の上にころがっていました。 このときのテストは 7MHz 主体だったのですが、実はこの基板、28MHz までのマルチバンドで使用できるものだったのです。 それを、このところの WSJT で 14MHz をワッチしていて思い出しました。 確か、7,030kHz 中心だったから、14MHz では 14,060kHz 中心じゃないかな? 、、、とすれば、上下 24kHz でも 14,076kHz 付近を聞けるのでは? もう一度、CQ 誌を取り出してみて見直してみたら、「あたり」でした。 、、、、で、SDR 基板でのお遊びの続きです。
下の写真は昨年末に作ったSDR 基板ですが、ジャンパピンでの周波数切換は不便です。 先日、たまたま、日本橋に行った時、基板に直づけ用のスイッチを買っておきました。 これは、普通の2ポジションのスナップスイッチではなく、真ん中のポジションが有る、ON-OFF-ON 型のスイッチで、ちょうどジャンパピンのオープンの状態も作り出せます。 足の配置もちょうど 2.54mm ピッチで、基板の穴にぴったりです。 これで、周波数の切換は抜群に便利になりました。
こちらは、全体のブロックダイアグラムです。 SDR(M0KGK SDR Decoder) と WSJT の処理系を同時に一つの PC で動作させます。 サウンドデバイスは配線ケーブルの都合で3種を使いましたが、ケーブル接続に問題が無ければ、2組有れば動作させることが出来ます。 接続は単純に SDR(M0KGK SDR Decoder) のサウンド出力を WSJT のサウンド入力に加えただけです。 無信号のノイズだけの時に WSJT の入力レベルが 0dB 近くになる様な適正入力に調整すれば終わりです。 あと、SDR(M0KGK SDR Decoder) のパラメータを 14,060kHz(使用クリスタルによって違う)、モードを USB にセットする必要が有ります。 また、サウンドデバイスがたくさんありますので、各ソフトに間違いなくセットしておかなければ動作しません。
こちらは、SDR(M0KGK SDR Decoder) で受信した 14MHz の WSJT 信号です。 画面にピークが見える様な信号はかなり強い信号です。 まずは、フィルタの帯域は一番広い 3.1kHz にしておきます。 周波数を 14,075.5kHz ではなく 14,075kHz にしているのは、周波数が 600Hz ほどずれているからです。 7MHz の時 300Hz ほどでしたから、おそらく発振器の周波数がずれているのでしょう。 水晶発振子には 14.0600MHz と刻印されているので、100Hz のオーダーまでは合っていそうなものですが、発振回路の問題なのでしょうか? やけにずれていますね。
こちらは、ウオーターフォール上の信号です。 先ほどのスペクトラムで見える様な強い信号ですので、かなり AGC が効いた様な画面になっています。 こんなところでまで、相変わらず、第2高調波を引き連れた信号を受信してしまいました。
こちらは、先ほどのウオーターフォール画面の信号のデコード結果です。 dB の所を見るとかなり強い局ですね。 まあ、AGC が上手く効いて特に問題なく受信できています。
下の画面は、DF2(ドイツ)の局の信号です。SDR で受信しています。 シグナルは、-14〜-15dB あたりを示しています。
下の写真は、同じ局を IC-756PRO で受信した所です。 シグナルは、-13〜-14dB あたりを示しています。 接続を変える時間差が有りますし、QSB 等も有るでしょうから。 まずまずでしょうか。 「あの小さな SDR基板、恐るべし」と言ったところでしょうか。
最近は、SDRで送信できるものも有るようですし、ソフトウエアの方もそれに対応してきているようです。 あんな小さな基板でトランシーバになったら、さぞかし面白いことでしょう。
現在位置: トップ > アマチュア無線 > 2007年6−7月