現在位置: トップ > アマチュア無線 > 2006年12月

2006年12月

改訂:2006/12/16

2006/11 WinDRM-Voice の Codec による特性の変化

 WinDRM による Voice 交信のテストWinDRM-Voice テスト(受信)に続き、WinDRM-Voice の Codec による特性の差を測定してみました。

 構成は、下の図のような構成で測定してみました。 ちゃんと受かってMSCが確立しておれば、伝送部分のデータの悪化はないので、今回の測定は、インタフェース部分でループバックさせて測定します。 送信機も本来なら不用なのですが、外すのが面倒だったのでそのままつけて測定しています。

 簡単な信号の流れは、Win_Genでホワイトノイズを発生させ、Sound_Station 経由で Yamaha_DS1X_Native_Audio のマイク端子に入力させ、WinDRM で処理させ、C-Media_USB-Audio の出力でループバックさせています。 ループバックした信号は WinDRM(2) で処理され、Yamaha_DS1X_Native_Audio より出力され、Sound_Station 経由で Wave_Spectra に入力され、周波数特性が表示されます。 特に、これと言った特別な測定器を使わず、全て、フリーの測定用アプリで測定しています。
WinDRM_Codec-1
 下の写真は SPEEX による Codec の時の特性です。左は 16QAM、右は 64QAM です。QAM による差はほとんどわかりません。 また、Band Width を 2.3kHz に変えてみましたが、これも有意差はありません。100Hz 以下はだらだらと落ちていますが、音声帯域ではほとんどフラットです。 但し、聴感上は全体的に少し歪んだような音がします。 高域の特性はデジタルフィルタの教科書に載っていたような特性そのままを示しています。
WinDRM_Codec-2
 次は LPC10 による Codec の時の特性です。 低域でひどく落ち込んでいます。 音声帯域は「まあまあ」でしょうか? 聴感上は一番アマチュア無線的な音がします。 ちょうど低域カットしたマイクで喋っているような感じです。 高域の状況は SPEEX と同じです。
WinDRM_Codec-3
 最後は MELP による Codec の時の特性です。低域までフラットに延びており、一番特性的には良さそうです。 WinDRM 標準で勧めるだけの特性です。 聴感上も低域がフラットな感じで聞こえてきます。 一番、素直な特性でしょうか? 800Hz あたりと 5kHz あたりにくぼみがあるのが気になります。 高域の状況は SPEEX および LPC10 と同じです。
WinDRM_Codec-4
 ちなみに、Sound Station USB Audio IF の入出力をつないで、WinGen の出力をスルーで WinSpectra に入力した時の特性は以下のとおりです。 上の測定とはちょっとレベルが違うのと、高域でサンプリングノイズで幅が広がっていますが、中心線はそこそこフラットな特性で、無線機の測定ぐらいには十分使えると思います。

WinDRM_Codec-5

2006/11 オンエア各局のDRM信号特性

 「TAKAさんの毎日が発見・ブログ」の「故きを温(たず)ねて新しきを知る」 でも記述しましたが、DigTRX の各種表示機能は EasyPal や HamPal のオンエア信号の特性を知る上で有用なものです。 まだ、技術的な細かいことは良くわかりませんが、各局のオンエア信号をモニターしていると、復号結果と DigTRX の各種表示の関係が少しはわかったような気がします。

 下の写真は、EasyPal の特性測定・その2の構成で測定した時のDigTRXのモニター結果です。
 直結ですから、SNR = 25.9dB で EasyPal Quality = 66% と驚異的に高い値を示しています。 実際のお空ではこんなに高い Quality の信号はありません。 今までに見た一番 Quality の高い信号は 7MHz でオンエアしていた局の信号で 58% でした。大体は20〜30%で、40%を超えるとかなり品質の良い信号と言えると思います。
 左の Frequency Spectrum は、できるだけフラットで3つのパイロット信号が同じレベルでクリアに出ているのが良いようです。 同じように Water Fall は左から右まで同じような輝度で光っているのが良いようです。 また、パイロット信号の間に相互変調歪み(IMD)成分が出ていないのが良いようです。 IMD 成分については、tune 信号の時により良く判別できます。
 QAM Constellation は、青色(FAC)は4象限にきっちり分かれて、点線の交点に集中しているのが良いようです。 また、黄色(MSC)は16個の点線の四角の枠内に納まり、できるだけ中心に集中しているのが良いようです。
 Impulse Response (Green) は、なるべく高めに出ていたほうが良いようです。
 Transfer Function (Yellow)、Group Delay (Blue) は、なるべくフラットなほうが良いようで、特性の悪い信号は右肩が下がっていたりします。
 Sfifted Power Density Spectrum は、ピークの部分がなるべくフラットで、両肩が立っているほうが良いようです。 特性の悪い信号は、角が取れて、「だら〜っ」と丸くなっています。
DigTRX_Sampl-1
 まず、144MHz にオンエアされている各局の信号を見てみました。
 最初の信号は Frequency Spectrum (以下FSと略す)、Water Fall (以下WFと略す)ともに、結構フラットで、Transfer Function (以下TFと略す)、Group Delay (以下GDと略す) 、Sfifted Power Density Spectrum (以下SPDSと略す) にも目立った所は無いのですが、なぜか、QAM Constellation (以下QAMCと略す)がバラケています。SNR、EasyPal Quality (以下EPQと略す) ともに低いレベルです。 しいて言えば、Impulse Response (以下IRと略す) が低いようです。 それから、tune 信号の時にかなりの IMD が見られます。 やはり IMD が悪いと QAMC のFAC、MSCともに集中せず、SNR、EPQともによくならないようです。これが一番大きく影響するようです。

DigTRX_Sampl-21

 下は、tune時のFSとWFです。パイロット信号の間にIMDが見えています。またWFでは青くIMDのラインが出ています。

DigTRX_Sampl-21-2
 次も144MHzにオンエアしている局の信号ですが、FSが低域、高域ともに落ちて、低域ではパイロット信号のレベルもかなり下がっています。 WFは当然両端が薄くなっています。 TF、GDにも異常なディップが見られますし、右肩下がりになっています。 また、SPDSもやや丸みを帯びた形状になっています。当然、QAMCの純度は悪くバラケています。 SNR、EPQともに低いですが、かろうじて画像を複号できています。
 マイクアンプにイコライザを掛けておられるのでしょうか? そうでなければ、帯域の狭いフィルタを使われて、キャリアポイントも動かされているのでしょうか? あるいは、近くのビル又は山などで、マルチパスの影響を受けているのでしょうか? この方は、Band Width を 2.5kHz で送出されていますが、せめて、2.3kHzで送出されるべきでしょう。

DigTRX_Sampl-22
 次も144MHzにオンエアしている局の信号ですが、FSの高域がだらだらと落ちています。パイロット信号にはそれほど影響は与えていないようです。 WFも当然右側が薄くなっています。 TFは右肩下がりに、GDは両端で下がっているようです。 また、SPDSもやや丸みを帯びた形状になっています。 しかし、QAMCの純度はそこそこで。 SNR、EPQとも比較的良い値を示しています。 これぐらいであれば、画像は問題なく複号できています。
 FSで高域が落ちているのは、マイクアンプにイコライザを掛けておられるのでしょうか? それともアンプ特性の問題でしょうか? マルチパスの影響かもしれません。 この方も、Band Width を 2.5kHz で送出されていますが、やはり、2.3kHzで送出されるべきでしょう。

DigTRX_Sampl-231
 次は、7MHzにオンエアしているHLの局の信号です。QSBの影響を受けて受信状態が刻々と変わります。 FS、WF、TF、GD、SPDSともにそれほど問題にするようなところは無いのですが、QAMCが集中せず、SNR、EPQともにそれほどよくなりません。 これは次のQSBの谷を見るとわかりますが、電離層反射による位相ずれの影響を多く受けているものと思います。

DigTRX_Sampl-31
 上と同じ局のQSBの谷の信号状態です。この写真では、FSの低域と高域が落ちていますが、WFの斜めの縞模様でわかるように、QSBの状態によって、落ち込む周波数が移動していきます。TF、GD、SPDSともフラットになってなくて、信号状態がよくなっても、すぐには回復せずに、QAMCがバラケているようです、したがってSNR、EPQともによくはありません。 でも、これぐらいの信号だと、かろうじて復号できるようです。

DigTRX_Sampl-32

現在位置: トップ > アマチュア無線 > 2006年12月